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選手紹介 2021.2.8

【インタビュー】#2 小林 亮太 『闘う熱さと冷静な判断』

4シーズンに渡りキャプテンとしてチームを引っ張ってきた小林亮太選手。
闘将と呼ばれる小林選手に、理想とするキャプテン像や今シーズンにかける想いを聞きました。



Q.まず、キャプテンになった時の気持ちについて教えてください。
社会人になってからのラグビーは毎日が闘いでした。
僕は有難いことに1年目から試合に出させていただきましたが、そのことにも賛否両論があり、
少しでも情けないプレーをすると、周囲からのプレッシャーもすごかったです…。
そういうこともあって最初の3シーズンは先輩方から怒られないように頑張るというような状況でした。(笑)
3年目になってFWリーダーという役職に付き、チームを引っ張って行かなければならないという感情が生まれました。
先陣を切って発言していかないといけないなと。
その翌年にキャプテンになってほしいとお話をいただくことになったのですが、
まだまだ3シーズン目が終わったばかりの若手だったので、
1年目から感じていたプレッシャーに加え、「キャプテンやから」という責任がプラスされたと感じました。
「キャプテンやから」ミスできない。「キャプテンやから」身体を張って当然。のようなイメージです。
そうなってくると自分の言動全てがしっかりしていないと周りがついてこない。
キャプテンになってなければ逃げたい場面もしっかり向き合って行かなければならない。
それまで苦手だった発言も、積極的にしなければならない。そのうえで質も求められる。
少しネガティブですが、そういったことをずっと考えていました。

Q.ダニー・リーHCは小林選手を『背中で引っ張っていくタイプ』だと話していました。
僕もそう思います。最近やっとそれを理解しました。
キャプテンになった当初は、言葉を巧みに使い、
プレゼンテーションも上手にできるような人をキャプテンとしてイメージしていました。
なのでそんなキャラクターでもないのに、どんどんみんなに話しかけに行って、
ミーティングでも上手く話をしようといろいろな情報を詰め込んで発言したり、
言葉で引っ張って行くことにチャレンジしていました。
でもだんだんうまくいっていない、みんなに伝えたいことが伝わっていないことに気付いたんです。
苦手なことに挑戦することが、逆に自分の首を絞めることになっていました。
今では『小林亮太という人間がリーダーシップを発揮する』ということに関しては、
最前線で身体を張って、自分のやるべきことを確実にやるという姿を
みんなに見せて行くことなのかなと思っています。

Q.発言が苦手とのことですが、キャプテン1年目の時に比べると、ずいぶんと言葉の重みが増したように感じています。
その「言葉」に関してですが、とても面白いと思っていて、キャプテンとして話す『言葉』ってあるじゃないですか。
僕の中で、日常で話す『言葉』とは違うものとして考えていたのですが、それではチームのみんなには全く伝えたいことが伝わっていませんでした。
れに比べ、例え言葉を上手く選べなかったとしても、本当に自分が思っていることを自分の言葉で伝える時の方が、
みんなにダイレクトに伝わる分、チームが良い方向に行きます。
初めのうちはそれに気付くことが出来ず、チームメイトに指摘されても何のことを言っているか分かりませんでした。
それを理解出来てからは、みんなにメッセージを伝えるときに意識するようにしています。



Q.キャプテン4年目ですが、今シーズンにかける想いは?
まずは昨シーズンから比べると、チームの雰囲気がガラッと変わりました。
マノ(レメキロマノラヴァ選手・現サニックス所属)やRG(スナイマン選手・現マンスター所属)が抜けたこと、
そして他にも試合に出ていた外国出身選手がたくさん抜け、外国人選手の数が減ったことが大きく関係しているのかなと思います。
それに対して僕はポジティブに、日本人選手が出場する枠が増えたと考えています。
もちろん勝利するのが一番大事なのですが、
やはりこのチームで長くプレーするであろう日本人選手・その中でも社員選手が主体となって
チームを造って行かなければならないと思っています。
次に個人的な話をすると、昨シーズン敗戦となった4試合のうち2試合に関しては、
キャプテンとしての判断がもう少しうまく出来たんではないかと思っていて、
今シーズンは接戦になった時に良い判断をして、チームを救えることで自分の成長を感じたいです。

Q.その2試合というのは?
クボタ戦と東芝戦です。
NTTコミュニケーションズ戦に関しては、試合の途中で脳震盪をしてしまったので…。
クボタ戦のことを例に挙げると、最後に逆転負けをしてしまったんですが、
その時にゲームコントロールのところで司令塔のポジションの選手へ、
もっとオプションを与えれたら良かったと感じています。
細かい戦術の部分になるので、詳細は省きますが、
その部分が自分への今シーズンの課題だと思っています。

Q.チームの調子自体はどうですか?
かなり良くなってきています。
ただ最後の1%の部分が今の課題で、これから開幕までに仕上げて行かなければならないです。
チームの武器をもっともっと絶対的なものにする必要があると思っています。
フォワードのところで言うと、スクラムを中心にセットプレーのところを武器にしたい。
バックスに関しては、全体的にスキルが上がっているので、
良い状況判断を持ってボールを前に進めれるのは、かなり強みだと思いますね。

Q.小林選手自身の調子はどうですか?
微妙です(笑)
えーと、調子自体は悪くないんです。
前までの自分なら、今の状態を見ると「調子が良い」と言っていたと思うんですが、
自分の中の理想も上がっている中で、もっともっと自分自身を上げて行かないといけないので、
そういう意味で「まだまだ」ということにしておいてください。

Q.選手としての理想とは?
『プレッシャー下でも確実なプレーができること』です。
上手な選手は100%と70%の使い分けができていると思っています。
説明が難しいのですが、もちろん手を抜くというわけではなく、
相手と闘う熱さと、冷静に判断ができる両面を使い分けるという意味です。
お手本にしている選手としては、過去に一緒に戦った川添さん(川添学さん・2016年度に勇退)と
デオン(デオン・ステフマンさん・2017年度に勇退)の二人です。
この二人は勝負になると一気に100%まで出力を高める姿が本当に凄くて、異次元でした。
僕自身もそうなれるよう、どんな些細なことでも常に自分に負けないというところを意識しています。


Q.開幕戦延期の影響で、対戦相手がNTTコミュニケーションズに決まったことに対してどう思いますか?
対戦相手に関しては何も思わないです。
トリプルAなので。相手がどこでも自分たちにフォーカスして準備するだけです。

Q.開幕戦が延期になったことに対しての想いは?
直前に知らされたので、正直に言うと残念な気持ちでした。
やはり今まで準備してきていましたし、気持ちもだんだん高まっていました。
でもその決定に関しては自分たちがコントロールできないことですし、
準備ができる時間が延びたとポジティブに捉えています。

Q.今シーズン、チームのキーポイントとキーマンになるのは誰ですか?
キーポイントに関しては、ゲームコントロールとセットプレー、あとはプレッシャー下での判断とスキルの三つです。
残り1ヶ月でどこまで仕上げて行くかが重要だと思います。
キーマンに関しては、9番、10番、15番ですかね。
一番はゲームコントロールだと思っています。
そこのポジションは経験豊富な選手がいるので、チームの舵を取って勝利に導いて欲しいです。

Q.シーズンを通して、ファンの方々にHEATのどんなラグビーを観て欲しいですか?
しっかりとボールが動いて、スピーディーなラグビーですね。
キックを蹴ったり、パスで大きく展開したり。そのスピード感の中に激しいコンタクトもある。
そんなワクワクするようなラグビーを僕たちは「EXCITING RUGBY」と呼んでいます。
HEATの目指すEXCITING RUGBYを観て楽しんでいただきたいと思います。

取材日:2021年1月27日

(取材・文:中田裕人広報)

▼前回のインタビュー記事はコチラ

#1 ダニー・リー 『胸が高まるようなシーズンにしたい』

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