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選手紹介 2021.2.16

【インタビュー】#3 伊藤 玖祥 『バックスの団結力』

地元三重県出身選手として加入し5年目を迎え、今シーズンからバイスキャプテンを任された伊藤玖祥選手。
常に冷静な判断ができる伊藤選手が語る今シーズンのバックスとは?



Q.HEATに加入したこの5年間を振り返っていかがですか?
とにかくこのチームに成長させていただきました。
今、凄い実力があるわけではないんですが、1年目の僕を知っている人からすれば
びっくりしてもらえるくらい成長していると実感しています。
成長度でいうとチームでもトップクラスだと思ってます。
Hondaに入ってからラグビーがとても楽しいですし、成長と共により楽しめるようにもなっています。

Q.成長を実感できる部分は?
プレー全般ですが、パス一つにしても状況判断の部分にしても、
経験から来る落ち着きであるだとか、9番にとって必要な要素が身についてきているかなと思っています。

Q.入ってきたときは強力な3人のライバルがいましたね。
そうですね。ヤンさん(ヤンヨンフンさん・2016年度勇退)、
山路さん、香山さん(香山亮太さん・2019年度勇退)の3人がいたので、完全に4番手でしたね(笑)
誰か一人が怪我しても公式戦には1試合も出れませんでした。

Q.その3人から学んだことは?
スクラムハーフとしての全てです。
ヤンさんに関しては、視野の広さやパスの速さにびっくりさせられました。
山路さんからはボール捌きやテンポの部分、香山さんからはDFのアグレッシブさ。
3人ともタイプが違って、それぞれから学ぶことがたくさんありました。
この先輩方がいてくれたおかげでトップリーグレベルを実感することが出来て、
自分もそこまで行かないといけないと明確な基準になりました。

Q.今では2人の後輩がいて上から2番目ですね。
そうですね。後輩たちも凄く頑張っていて、日々成長しているので良い刺激をもらっています。
良い競争ができていると思います。


Q.2018年、トップリーグのデビュー戦のことを覚えていますか?
覚えてますよ!2018年の秩父宮での開幕戦ですね。
3年目にしてようやくデビュー出来たので、めっちゃ嬉しかった気持ちと、
トップリーグの舞台に自分が立っているんだという言葉にできない夢のような気持ちがありました。
それまで色々なことがあったので、それを乗り越えてグラウンドに立てたという重みをすごく感じました。

Q.期待が大きくなる中、昨シーズンはケガの影響も大きくなかなか試合に出られませんでした。
2019年のシーズンオフで手術をして、
トップリーグ2020の開幕前に行われた近鉄との練習試合で復帰したのですが、
その復帰戦で違う場所を痛めてしまい、再び離脱してしまいました。
その後、約2ヶ月チャンスが回ってこなかったのですが、
TL2020 第6節 NTTコミュニケーションズ戦に
やっとの想いでメンバー入りすることが出来ました。
しかし出場できたのは最後の5分くらい。
今から頑張って行こうというところで中止になってしまったので凄くショックでした。
1年間での試合時間も(上に記載の2試合で)わずか45分。もっと試合がしたかったです。

Q.復帰してからの感覚は?
プレーしている感覚については怪我の前と全く変わりませんでした。
あぁグラウンドに戻ってきたな、というくらいです。
気持ちの面では怪我をして時間に余裕ができた分、
色々考えるようになり、より冷静に対処できるようになったような気がします。


Q.今シーズン、バイスキャプテンへの打診があった時はどんな気持ちでしたか?
以前から前田GMには「今後リーダーグループに入ってチームを引っ張ってもらう。」と
言ってもらっていたので、驚きはありませんでした。
キャプテンでもバイスキャプテンでも引き受ける覚悟をしていました。
ですが同時に、責任の重さもすごく感じました。元々自分に自身がない方なので…。

Q.伊藤選手が目指すバイスキャプテンの理想像は?
今のチームで答えていいですか?
小林さんがキャプテンにいて、藤浪と僕がバイスキャプテン。
小林さんは経験豊富でグラウンドの最前線で引っ張っていってくれるタイプで、
藤浪は3年目で若いですが、とてもエナジーがあってめちゃくちゃ熱いハートを持っています。
そのバランスを考えた時に、自分の性格上でもありますが、
冷静に物事を見てチームをコントロールして、状況判断する役目なのだと理解しています。

Q.今シーズンのバックスについてはいかがですか?
今シーズンのバックスに関しては団結力が凄いあります。
一つのグループとして、すごく良い関係になっていると感じます。
と言うのも、生方さんや(森川)海斗さん、山路さんと言ったベテランメンバーを中心に
若手を巻き込んでいっているので、一つのファミリーになっていると思います。
プレーの面では、一般的にバックスには派手なプレーが求められやすいのですが、
いわゆるインパクトプレーヤーは今のチームにはいないんです。
しかしみんなが確実に自分の仕事を果たして、ディフェンスでハードワークするだとか、
システムに沿ってコミュニケーションを取るだとか、すごく地味なんですがみんな頑張ってくれています。
自分がチームをリードすると言う意識も高くて、仕事人タイプが多くバックス全体の仕事量が高くなっています。
なので連携を生かしたトライが増えてくるかと思っています。

Q.バックス内の競争に関してはどう感じていますか?
日本人選手のパフォーマンスが上がり選手層がかなり厚くなっています。
今までは外国人選手が多く出ていましたが、その影に隠れていたメンバーに
パフォーマンスがすごく高い選手が出てきました。
若手で言うと、渡部寛太呉洸太などですね。この二人は特に調子が良いです。
ぜひこういう日本人選手にも注目して欲しいです。
バックスリーのところは特に、マノ(レメキロマノラヴァ選手・現サニックス)や
エイダン(エイダン・トウア選手・2020年度勇退)が抜けましたが、
生方さんを中心にみんなで教えあって全員が切磋琢磨しています。
今シーズンのディフェンスは、特にバックスリーの頑張りがHondaを支えていると思っています。
他のチームに比べても、あれだけ声を出してお互い話し合っているバックスリーはいないんじゃないかと。
生方さんと言う良いモデルがいるので全体に浸透しているのかなと思っています。
キーマンとなるのは今話をしたメンバーですかね。

Q.外国人選手たちはどんな様子ですか?
全員が日本という環境にかなり溶け込んでいて、すごくコミュニケーションをとってくれます。
特に(マット・)ダフィーに関しては、プレイングコーチかな?って思うくらい教えてくれます(笑)
元オールブラックス選手からは学ぶことがすごく多いです。
そもそもバックスには外国人選手が4人しかいないというのもありますし、
本当に性格が良いメンバーが揃っているので、完全に溶け込んでいますね。笑

Q.ダフィー選手の加入についてはいかがですか?
かなり大きいです。
プレーはもちろん良いですし、プレー以外の部分でもコミュニケーション能力が高くて、
今まで経験してきたハイレベルなことを周りに教えてくれるので頼り甲斐があります。
バックスリーに加入したというところも大きくて、
元々生方さんがいて、そこにダフィーが入ったということで
グループとしての成長スピードがすごいです。

Q.今シーズンは特にベテランが若手を巻き込んでいく雰囲気が伝わってきます。
そうですね。これはどのポジションにも言えるのですが、
ハーフでも山路さんと一緒に下二人を引き連れてポジション練習をしたりします。
センターも海斗さんがみんなを巻き込んでやってくれています。
そういうポジションごとにも高め合えているのがすごく良いなと感じています。
今の若手にとってはすごく良い環境でプレーできていると思いますし、純粋に羨ましいです。

Q.若手選手は本当に伸び伸びしているような印象です。何か気をつけていることは?
シーズンの初めにリーダー陣で話し合っていた時、
今は若手選手が多いので、ちゃんと発言できたり、
伸び伸びプレーできる環境を作ってあげる、というのがテーマでありました。
若手選手たちがその雰囲気を感じ取ってくれていれば嬉しいのですが(笑)

Q.藤浪選手がバイスキャプテンになったのは大きいのでは?
それはあると思います。その他にも藤井古田みたいにリーダーシップを取る選手もいるので、
自分達の年齢に近い選手がそういう役職についている姿を見るのは刺激を受けるのだと思います。
年長者がリーダーをしていても、若手にとってはイメージしにくい。
身近な存在のリーダーは親近感が湧き、良いモデルになっています。



Q.トップリーグ開幕が延期になった時の気持ちは?
本当に直前だったので、気持ちもできていましたし、ショックではありましたが、
ダニー(リーヘッドコーチ)がいつも言っている言葉
「自分たちがコントロールできることをコントロールする」に影響を受けました。
今年は特に自分たちにフォーカスしようと話しているので、
こう言う時こそチームの考え方をブラさずやって行くことが大事だと思いました
個人的にも、怪我もあったのでプラスに捉えてしっかり治して、次の開幕に備えて準備して行こうと思いました。

Q.開幕がNTTコミュニケーションズ戦に決まったことについて
まずは昨シーズンの1点差で敗退したあの光景が真っ先に浮かびました。
やっぱりNTTコミュニケーションズやクボタといったチームは
僕たちが上に行くために倒していかなければならない相手であることは間違い無いので、
やり甲斐しかないです。
試合に向け、実際にやっていくことですか?
それに関しては、トリプルAなので他の試合と何も変わりません。

Q.今シーズンはバックスとしてどのようなラグビーを観て欲しいですか?
チームとしてはインパクトプレーヤーが今までよりも減ってしまったかもしれませんが、
逆にチームのシステムを徹底でき、チームで取り切るトライであったり、
チームで守りきるというところがキーになってきます。
そのような粘り強さの部分を観ていただきたいと思っています。

取材日:2021年1月27日

(取材・文:中田裕人広報)

▼前回のインタビュー記事はコチラ

#2 小林 亮太 『闘う熱さと冷静な判断』

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