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選手紹介 2021.2.4

【インタビュー】#1 ダニー・リー 『胸が高まるようなシーズンにしたい』

2017年シーズンのトップチャレンジリーグ時代にヘッドコーチとしてチームに加入し、

トップリーグ昇格、チーム最高順位の9位と、次々にHonda HEATの歴史を創ってきたダニー・リーヘッドコーチ。

今まで進めてきたチーム造りと、今シーズンにかける想いについて聞きました。

 

 

Q.チームに加入してから今までを振り返っていただけますか?

まず加入した当初のことをお話しすると、まだHonda HEATは2部リーグ(トップチャレンジリーグ)に所属するチームでした。

ゆっくりでしたが着実に力をつけ、初年度から全勝でトップリーグ昇格を勝ち取ることができました。

翌年に繋がる良い結果を残すことができたと思います。

2年目(2018年シーズン)に関しては、強豪と呼ばれるチームとも張り合うほどに成長することができました。

その結果、HEAT史上で最高順位のトップリーグ9位を勝ち取ることができました。

3年目(昨シーズン)については、確実にチームが強くなっていると自信がありました。

しかし残念なことにコロナの影響で中止せざるを得ない状況になってしまいました。

HEATとしては暫定10位と満足な結果ではありませんが、あのまま最後まで戦っていれば、

より高い順位になることは間違いなかったと思っています。

そして今シーズンに関しては、これまで築き上げてきたチームカルチャーの上でこそ成り立つ、強いチーム造りを進めてきました。

これから間違いなく良い結果を出せるという自信があります。

今までのシーズンの中でも最も気持ちが昂るようなシーズンになるでしょう。

今からとても楽しみです。

 

Q.築き上げてきたチームカルチャーはどういったものですか?

チームカルチャーの中で特に意識してきたのは、人と人の繋がり、『コネクション』の部分になります。

これはプレイヤーだけでなく、コーチングスタッフ、マネジメントスタッフ、

メディカルスタッフも含めて、チーム全体の繋がりです。

全体的な繋がりが深まることで、シナジー(相乗効果)が生まれてきて、毎日の成長へのカギになると思っていました。

実際にこの3年半で信頼関係が深まり、常に高め合える毎日にできたと思っています。

これが上り調子のチームを支えた大きな部分であるということを私は信じています。

 

Q.コロナ禍という難しい状況の中、チーム造りで意識していることは?

新型コロナウィルスというのはパンデミックです。

これはラグビー界だけでなく、全世界の人が同様に経験しており、我々がコントロールできるものではありません。

しかしその状況でも、変わらないものがあります。それはチーム全員の向かう方向、すなわちゴールです。

通常時でもゴールに向かうために様々な障害がありますが、自分たちがコントロールできることというのは明確です。

なので、「自分たちがコントロールできることをコントロールしよう」というところに重きを置きました。

そうすることで、急に本番が始まるとなった場合でも、「できることはすべてやってきた」という状況を創り出すことができます。

私はチームをその方向へ導くことができるよう集中して取り組んでいます。

 

 

 

Q.トップリーグ2021開幕戦延期が決まった時、どのような気持ちでしたか?

最初は入り混じった感情でした。

リーグが決まってから、サニックス戦に対して入念な準備をしてきて、

必ず良い試合ができ、良い結果が出せると自信がありました。

ですがそれと同時に、キーポジションにいる選手がケガをしているという不安な部分もありました。

なので、不安要素に対しての準備期間がもらえたとポジティブに考え、

今ではラッキーだったと思うことができています。

 

Q.新しい大会フォーマットではNTTコミュニケーションズとの開幕戦となりますが、どのような気持ちですか?

昨シーズンはホーム鈴鹿で対戦し、1点差の惜敗(1314の逆転負け)という結果でした。

それは自分にとってもそうですが、チームにとってもかなり残酷な結果でした。

その中で芽生えた感情、悔しさというのは計り知れないものがあります。

本当に衝撃的で、言葉にできないほどです。

今シーズンは開幕戦でリベンジするチャンスをもらいました。

そのチャンスをものにするために、先ほども言った"準備"がキーポイントになります。

試合に勝つためにはファーストプレーからトップギアで激しくプレーをしていかなければなりません。

ここ数年間、私がチームに言い続けているテーマに『トリプルAAnyone , Anytime , Anywhere)』という言葉があります。

直訳すると、いつ、どこで、誰が相手でも、という意味になります。

その言葉通り、相手がどんなに強豪でも、自分たちがどんな場所でプレーしようとも、

どのような時間帯にプレーすることになっても、とにかく勝つために自分たちができる事をする。

どのような状況でも勝つために自分たちには何ができるのかを考える。そして実行する。

この部分が開幕戦では重要になってきます。

 

Q.今から開幕戦に向けてどう調整していきますか?

良い流れを創っていくために、この1ヶ月間のプロセスが非常に重要だと考えています。

対戦カードに関しては、変更前の並びが我々にとって理想的でした。

良い形でシーズンを進めていけるとイメージが作りやすかったというのが本音です。

変更後の対戦カードは、いわゆる格上(レギュレーション決定の際の順位から)のチームと

初戦から戦っていかなければならなくなってしまった。

ここを勝ち抜くために良いスタートを切るための準備がキーポイントになってくると思います。

 

 

Q.今シーズンのチームの特徴はどういったところですか?

身体の大きさの部分では昨シーズンから比べると失ったものが多いのですが、

その分より速いテンポでプレーできる選手が揃いました。

チームとしても、そこに着目して練習しています。

特に日本人選手に関しては、とてもレベルが上がっていると感じています。

素晴らしい選手が揃っていて、個人的にもワクワクする気持ちを隠しきれません。

 

Q.シーズンを通してのキーマンは誰か教えてください。

毎週、毎日のように、多くの選手がアピールしてくれるので選ぶのが難しいのですが、

層の厚さが増してきている証拠なので嬉しく思います。

その中で特筆すべき人物というのはやはりキャプテンの小林亮太です。

小林は背中で引っ張るタイプのキャプテンで、私の就任初年度からキャプテンを務めています。

80分間ハードにプレーし続けて、グラウンド上で血と汗を流す姿は『Real Honda Man』だと感じています。

彼抜きではこのチームを語れません。

 

他にはウィングの生方信孝と尾又寛汰です。

彼ら二人はHondaX-factor(ここでは特別な能力を持っている人という意味)と言っても過言ではありません。

二人に共通して言えることですが、運動量がとにかく段違いです。

常に走り続け、どこにでも顔を出してくれます。

フィニッシャーとしても期待でき、その能力もトップレベルだと思っています。

 

最後に外国出身選手の話をしたいと思います。

今や日本のどのチームでも、彼らの存在を欠かすことができません。

Hondaに在籍するメンバーも例外ではなく、チームを引っ張ってくれる存在になってほしいと思っています。

その中でもヴィリアミ・アフ・カイポウリについてお話ししたいと思います。

今シーズン、日本の大学から加入した選手なのですが、

外国籍でありながらHondaに社員選手として入り、日本で生活していく道を選んだ少し特殊な選手になります。

彼は身体も大きく、とてつもなく強い。

インパクトのあるボールキャリーという大きな武器は、チームにとって貴重な存在になることは間違いありません。

みなさんにも特に注目してもらいたい選手になります。

 

 

Q.今シーズンはどのようなラグビーを見せたい、見ていただきたいですか?

全体的にサイズがあるわけではないので、素早くハイテンポなラグビーを展開したいと思っています。

アタックに関しては、豊富なバリエーションを持って大きくボールを動かし、スマートなラグビーを心掛けています。

ディフェンスについては、ここ数年で一番伸びた部分だと思っています。

相手を困らせる出足の速さに関しては、相手チームの選手が頭を抱えるでしょう。

ディフェンスでプレッシャーをかけ、ボールを取り返して得点に繋げる。

こういったスピードの部分やアグレッシブさ、ダイナミックさを体現するスタイルこそが、

我々が掲げている人をワクワクさせるようなラグビー、すなわち『EXCITING RUGBY』だと思っています。

どんな相手であろうと『EXCITING RUGBY』を展開していき、Honda HEATに関わる全ての人から誇りに思ってもらいたいです。

チームメンバーだけでなく、友人・家族やファンの皆様、またHondaで働く世界中の従業員の皆さんなど、

胸を張って良いチームだと言ってもらえるような、胸が高まるような試合がしたいと思います。

 

取材日:2021年1月27日

(取材・文:中田裕人広報)

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